目次
はじめにNANDフラッシュメモリブートの有効性
近年の組込みシステムでは、低コスト・小型化・低消費電力が強く求められています。特にMCU(マイクロコントローラ)を用いたシステムでは、
- ブートデバイス
- アプリケーション/データ保存用ストレージ
をどのように構成するかが、システム全体のコスト・サイズ・消費電力に大きく影響します。
本資料では、NANDフラッシュメモリブートを採用することの有効性について、以下の観点から説明します。
- ブートデバイスとストレージデバイスを1個のNANDフラッシュで兼用可能
- 低コスト
- 基板の実装面積が小さい
- 消費電力が少ない
NANDフラッシュメモリブートの有効性①ブートデバイスとストレージデバイスを1個のNANDフラッシュで兼用可能
従来構成の課題
従来のMCUを用いた組込システムでは、以下のような構成が一般的でした。
| ブート用 | NORフラッシュメモリ、ROM、または専用ブートデバイス |
| データ用 | NANDフラッシュメモリ、eMMC、SDカードなど |

この構成では、
- 部品点数が増える
- 配線・実装が複雑になる
- コストが上昇する
といった課題がありました。特に昨今では、メモリデバイスの価格が高騰しており、入手が困難になってきています。
NANDフラッシュブートの利点
NANDフラッシュブートに対応したMCUを利用すると、
- ブートローダ
- ファームウェア
- アプリケーション
- ユーザーデータ
を単一のNANDフラッシュメモリ内で管理することが可能となります。

これにより、
- ブートデバイス用の専用メモリが不要
- ストレージデバイスと完全に一体化した構成
が実現できます。
さらに、CRAやJC-STAR等のセキュリティ対策でのファームウェア複数管理にも効果を発揮します。
システム構成の簡素化
1個のNANDフラッシュで対応できることで、
- 部品点数削減
- BOM(部品表)の簡素化
- 実装・検査工程の削減
といった開発・量産の両面でのメリットが得られます。
NANDフラッシュメモリブートの有効性②低コスト
NANDフラッシュの価格優位性
NANDフラッシュメモリは、ビット単価が非常に低く、
- 大容量を安価に実装可能
- プログラム領域とデータ領域を余裕を持って確保可能
という特徴があります。
NORフラッシュやeMMCと比較しても、容量あたりのコストはNANDフラッシュが最も有利であり、低コストな組込みシステムに適しています。
システム全体コストの低減
NANDフラッシュブートを採用することで、
- メモリデバイスの削減
- 電源IC、信号ライン、実装工数の削減
が可能となり、システム全体としてのコスト低減につながります。
NANDフラッシュメモリブートの有効性③基板の実装面積が小さい

部品点数削減による小型化
ブート用デバイスとストレージデバイスを統合できるため、
- 実装デバイス数が減少
- 配線数・パターン数が削減
され、基板の実装面積を小さくすることが可能です。
小型・薄型機器への適用
この特性は、
- 産業用制御機器
- 民生機器
- IoTエッジデバイス
など、小型筐体が求められる製品において特に有効です。
NANDフラッシュメモリブートの有効性④消費電力が少ない

デバイス数削減による消費電力低減
使用するメモリデバイスが1個になることで、
- 待機時消費電力
- アクセス時消費電力
の双方を低減できます。
MCU+NAND構成の省電力性
MCUとNANDフラッシュの構成は、
- 必要なときのみアクセス
- シンプルな電源構成
が可能であり、バッテリー駆動や省電力を重視するシステムに適しています。
NANDフラッシュメモリブートは組込みシステムに有効な方式
MCUを用いた組込みシステムにおいて、NANDフラッシュメモリブートは、
- ブートデバイスとストレージデバイスを1個のNANDフラッシュで兼用可能
- 部品点数削減による低コスト化
- 基板の実装面積を小さくできる
- 消費電力を低く抑えられる
という点で、コスト・サイズ・消費電力を重視する組込みシステムに非常に有効な方式です。
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